林 恭助 黒織部茶埦


¥165,000






深い漆黒の釉が豪放に掛け分けられ、ところどころに素地の黄褐色が現れる景色は、まさに黒織部の醍醐味を体現した一碗です。
端正に見えて、わずかに揺らぎを含む口縁の造形は、轆轤成形の中に手の感触を残す林恭助ならではの作風をよく示しています。黒釉は厚く、しっとりとした艶を湛えつつ、光の角度によって微細な表情を変え、静かな存在感を放ちます。
大胆な掛け分けの構成は、織部の伝統的な奔放さを踏まえながらも、過度に装飾へ走らず、土味の温かみと黒釉の重厚感との調和によって、落ち着いた気品を感じさせます。手取りは程よく、茶の湯の実用にも配慮された作行きです。
共箱および栞の記載より平成10年までの略歴が確認できることから、本作は平成11年頃の制作と推測され、円熟期に差し掛かる時期の安定した力量が窺えます。
黒の静寂と土のぬくもりが拮抗する、端正かつ力強い黒織部茶碗。日常の一服にも、席中の主碗としても存在感を発揮する逸品です。


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